RCEPとは?参加国・メリット・利用条件・証明書取得まで徹底解説【2025年最新】




RCEPとはアジア太平洋15か国が締結した自由貿易協定です。本記事ではRCEPの概要、参加国、メリット・TPPとの違い、原産地証明書の取得方法までを初心者にもわかりやすく解説します。
RCEPとは?定義・背景・参加国をわかりやすく紹介
RCEP(地域的な包括的経済連携協定)の概要
RCEP(地域的な包括的経済連携協定)は、アジア太平洋地域における貿易と経済統合を促進するための重要な多国間貿易協定です。
2020年11月に署名され、2022年1月1日に発効しました。この協定は、加盟国間での貿易・投資の自由化、規制の簡素化、そして経済協力の強化を目指しています。
RCEPは、世界経済においても重要な役割を果たすと期待されており、加盟国の経済成長を加速させることが予想されています。
RCEPが発効された背景と目的
グローバル化の進展により、域内経済の統合と安定したサプライチェーンの構築が急務となる中、RCEPはその推進力となるべく策定されました。貿易の円滑化、関税の削減、サービス貿易・投資の自由化などが主要な目的です。
RCEPの参加国とその経済的な位置づけ
参加国は以下の15か国です。
・ASEAN加盟国(インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイ)
・日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド
この広範な国々を一つの経済枠組みにまとめたことにより、ビジネスの機会が飛躍的に拡大しました。
RCEPのメリットとは?企業・消費者への影響を解説
関税の引き下げによる価格競争力の強化
RCEP発効により、参加国間での多くの製品の関税が即時、あるいは段階的に撤廃されます。これにより、製品の価格競争力が高まり、特に製造業や輸出入業にとって有利な環境が整います。
サプライチェーンの最適化と輸出入の促進
複数のFTAを組み合わせる必要があった従来の体制に比べ、RCEPは「統一されたルール」によって、原産地規則や通関手続きが簡素化され、サプライチェーンの一貫性が確保されます。
中小企業が受けられる支援や恩恵
中小企業向けの支援策も盛り込まれており、情報提供や貿易促進策を通じて、海外進出へのハードルを下げる取り組みが進んでいます。
RCEPとTPPの違いとは?どちらを使うべきか比較解説
経済圏の範囲と対象国の違い
TPP(CPTPP)にはアメリカが不参加である一方、RCEPには中国と韓国が含まれているという大きな違いがあります。日中韓の三国が同一協定に入るのはRCEPのみです。
原産地規則や自由化率の違い
TPPはより高水準の自由化を求めていますが、RCEPは多様な国の事情を尊重し、より柔軟な基準となっています。そのため、中小企業にとってはRCEPのほうが使いやすい場合があります。
日本企業にとっての使い分け方
中国・韓国向け取引 ⇒ RCEPが有利
高品質・高規格の製品を扱う輸出 ⇒ TPPが適している可能性あり
商材や相手国に応じて協定を使い分けるのが最適です。
RCEPの活用方法とは?原産地証明書の取得手順と輸入時の条件
RCEP利用の条件
RCEP(地域的な包括的経済連携協定)を利用して関税の優遇措置を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
・特恵税率の設定: 輸入する貨物に対して、RCEP協定の特恵税率が設定されていることを確認します。これは、貨物のHSコードおよび統計細分から、実行関税率表で確認できます。
参考サイト: 輸入統計品目表(実行関税率表)
・原産品の認定: 貨物がRCEP協定上の「原産品」として認められる必要があります。原産品と認められるためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
①完全生産品: 全ての生産工程が締約国内で行われた製品。
②原産材料のみから生産される産品: 使用される全ての材料が締約国内で生産された製品。
③品目別規則の遵守: 各品目に定められた原産地規則を満たす製品
・必要書類の作成と提出: 輸入申告時に、適切な原産地証明書を作成または準備し、税関に提出する必要があります。原産地証明の方法により、提出する書類が異なります
参考サイト:税関・RCEP協定利用の流れ
特定原産地証明書の種類と取得方法
RCEPにおいて、課税価格の総額が20万円以下の場合は、原産品申告書や関係書類の提出が省略できるため、手続きが簡略化されます。
20万円以上の場合、特定原産地証明書の提出が必要です。特定原産地証明書には大きく3つの種類があります。
画像出典:税関・条件3必要な書類を作成又は準備し輸入申告時に税関に提出すること
①輸出者自己申告制度
自己申告制度は、輸出者や輸入者が自ら原産品申告書を作成し、関税の特恵措置を受けるための制度です。日本では、2015年に発効した日豪経済連携協定(EPA)で初めて採用されました。
この制度を利用する際、原産品申告書にはRCEP協定で定められた必要事項を英語で記載する必要があります。
画像出典:税関・条件3必要な書類を作成又は準備し輸入申告時に税関に提出すること
②認定輸出者制度(第二種特定原産地証明書)
認定輸出者制度は、経済産業大臣の認定を受けた輸出者が、自ら原産地証明書(第二種特定原産地証明書)を作成できる制度です。 経済産業省
この制度は、日メキシコEPA、日スイスEPA、日ペルーEPA、RCEP協定で採用されています。
認定を受けることで、輸出手続きの効率化やコスト削減が期待できます。農林水産省
③第三者証明制度(第一種特定原産地証明書)
日本が締結している経済連携協定(EPA)では、第三者証明制度が一般的に採用されています。
この制度では、指定された発給機関(第三者)が原産地証明書を発行します。
日本における主な発給機関は、日本商工会議所です。
RCEPを活用した特定原産地証明書取得までのステップ
ステップ1 輸出産品のHSコードを確認する
↓
ステップ2 EPA税率の有無や税率を確認する
↓
ステップ3 輸出産品に係る規則を確認する
↓
ステップ4 輸出産品に係る原産性を確認する
↓
ステップ5 「企業登録」をする
↓
ステップ6 「原産品判定依頼」を行う
↓
ステップ7 「特定原産地証明書の発給申請」を行う手数料
参考サイト:日本商工会議所・RCEPを活用した特恵原産地証明書取得までのステップ
④物流会社の代行サービスを利用する
弊社THECKBと業務提携している海源物流株式会社では、RCEP原産地証明書の代行サービスを提供しています。
このサービスを利用するには、海源物流の船便をご利用いただく必要があります。
■代行手数料:
・1件あたり150元(約3,200円)
・5品目ごとに追加で50元(約1,065円)
■申請手続きについて:
課税価格の総額が20万円以上で、RCEP証明書の申請をご希望のお客様は、以下の手順で申請を行ってください。
①お客様ご自身で、日本の税関にて製品のHSコードと申告品名をご確認ください。
② LINEやChatworkの担当者、またはオンラインカスタマーサポートを通じて、当社にRCEP証明書の代行申請をご依頼ください。
RCEP証明書の申請には、正確なHSコードと申告品名が必要となりますので、事前にご提供いただきますようお願い申し上げます。
③当社が海源に依頼し、RCEP証明書の代行申請を進めさせていただきます。
まとめ
RCEP(地域的な包括的経済連携協定)は、日本を含むアジア太平洋地域の15か国が参加する自由貿易協定で、関税削減や撤廃によるコスト削減のメリットがあります。
これらの優遇措置を享受するためには、「特定原産地証明書」の取得が必要です。
証明書は自己申告、認定輸出者、第三者証明制度を通じて取得でき、手続きに必要な書類を準備し税関に提出することで、税制優遇措置や関税軽減を受けられます。
企業は正確な手続きを行うことで、貿易業務の効率化とコスト削減が実現できます。
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