RCEPとは?メリットと特定原産地証明書の取得方法を詳しく解説!



RCEP(地域的な包括的経済連携協定)は、アジア太平洋地域における15か国による自由貿易協定で、この協定は、世界のGDP、貿易総額、人口の約3割を占める巨大な経済圏を形成し、日本にとっては初めて中国や韓国と経済連携を結ぶ重要な契機となっています。
本記事では、RCEPの基本的な内容、加盟国、そして企業が享受できる貿易上のメリットについて詳しく解説します。また、RCEPを活用するために欠かせない「特定原産地証明書」の取得方法や、税制優遇措置や関税軽減を享受するための手続き・必要書類についても詳しく説明します。
貿易業務や国際取引に携わる方々にとって、RCEPを理解し、効果的に活用するための実践的な情報を提供します。
RCEPとは?
RCEPの概要について
RCEP(地域的な包括的経済連携協定)は、アジア太平洋地域における貿易と経済統合を促進するための重要な多国間貿易協定です。
2020年11月に署名され、2022年1月1日に発効しました。この協定は、加盟国間での貿易・投資の自由化、規制の簡素化、そして経済協力の強化を目指しています。
RCEPは、世界経済においても重要な役割を果たすと期待されており、加盟国の経済成長を加速させることが予想されています。
RCEPの参加国とその役割
RCEPの加盟国は、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、そしてASEANの10か国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア)です。
これらの国々は、世界のGDPの約30%、人口の約30%を占めており、経済的な影響力が大きいです。
各国は、自国の経済成長と地域全体の発展を促進するため、RCEPを通じて協力しています。
RCEPの主なメリット
RCEPは、多くの品目で関税の段階的な削減や撤廃を実施しています。
これにより、輸出入企業はコスト削減が可能となり、製品の価格競争力が向上します。
特に、日本が中国や韓国と初めて締結した自由貿易協定であるため、これらの国との貿易において大きなメリットが期待されます。
ただし、これらの関税優遇措置を受けるためには、RCEPで定められた原産地規則を満たしていることを証明する「特定原産地証明書」の取得が必要です。
この証明書は、輸出者や生産者が自ら作成する場合や、権限ある発給機関によって発行される場合があります。
輸入におけるRCEP利用の条件・特定原産地証明書取得方法
RCEP利用の条件
RCEP(地域的な包括的経済連携協定)を利用して関税の優遇措置を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
・特恵税率の設定: 輸入する貨物に対して、RCEP協定の特恵税率が設定されていることを確認します。これは、貨物のHSコードおよび統計細分から、実行関税率表で確認できます。
参考サイト: 輸入統計品目表(実行関税率表)
・原産品の認定: 貨物がRCEP協定上の「原産品」として認められる必要があります。原産品と認められるためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
①完全生産品: 全ての生産工程が締約国内で行われた製品。
②原産材料のみから生産される産品: 使用される全ての材料が締約国内で生産された製品。
③品目別規則の遵守: 各品目に定められた原産地規則を満たす製品
・必要書類の作成と提出: 輸入申告時に、適切な原産地証明書を作成または準備し、税関に提出する必要があります。原産地証明の方法により、提出する書類が異なります
参考サイト:税関・RCEP協定利用の流れ
特定原産地証明書の種類と取得方法
RCEPにおいて、課税価格の総額が20万円以下の場合は、原産品申告書や関係書類の提出が省略できるため、手続きが簡略化されます。
20万円以上の場合、特定原産地証明書の提出が必要です。特定原産地証明書には大きく3つの種類があります。
画像出典:税関・条件3必要な書類を作成又は準備し輸入申告時に税関に提出すること
①輸出者自己申告制度
自己申告制度は、輸出者や輸入者が自ら原産品申告書を作成し、関税の特恵措置を受けるための制度です。日本では、2015年に発効した日豪経済連携協定(EPA)で初めて採用されました。
この制度を利用する際、原産品申告書にはRCEP協定で定められた必要事項を英語で記載する必要があります。
画像出典:税関・条件3必要な書類を作成又は準備し輸入申告時に税関に提出すること
②認定輸出者制度(第二種特定原産地証明書)
認定輸出者制度は、経済産業大臣の認定を受けた輸出者が、自ら原産地証明書(第二種特定原産地証明書)を作成できる制度です。 経済産業省
この制度は、日メキシコEPA、日スイスEPA、日ペルーEPA、RCEP協定で採用されています。
認定を受けることで、輸出手続きの効率化やコスト削減が期待できます。農林水産省
③第三者証明制度(第一種特定原産地証明書)
日本が締結している経済連携協定(EPA)では、第三者証明制度が一般的に採用されています。
この制度では、指定された発給機関(第三者)が原産地証明書を発行します。
日本における主な発給機関は、日本商工会議所です。
RCEPを活用した特定原産地証明書取得までのステップ
ステップ1 輸出産品のHSコードを確認する
↓
ステップ2 EPA税率の有無や税率を確認する
↓
ステップ3 輸出産品に係る規則を確認する
↓
ステップ4 輸出産品に係る原産性を確認する
↓
ステップ5 「企業登録」をする
↓
ステップ6 「原産品判定依頼」を行う
↓
ステップ7 「特定原産地証明書の発給申請」を行う手数料
参考サイト:日本商工会議所・RCEPを活用した特恵原産地証明書取得までのステップ
④物流会社の代行サービスを利用する
弊社THECKBと業務提携している海源物流株式会社では、RCEP原産地証明書の代行サービスを提供しています。
このサービスを利用するには、海源物流の船便をご利用いただく必要があります。
■代行手数料:
・1件あたり150元(約3,200円)
・5品目ごとに追加で50元(約1,065円)
■申請手続きについて:
課税価格の総額が20万円以上で、RCEP証明書の申請をご希望のお客様は、以下の手順で申請を行ってください。
①お客様ご自身で、日本の税関にて製品のHSコードと申告品名をご確認ください。
② LINEやChatworkの担当者、またはオンラインカスタマーサポートを通じて、当社にRCEP証明書の代行申請をご依頼ください。
RCEP証明書の申請には、正確なHSコードと申告品名が必要となりますので、事前にご提供いただきますようお願い申し上げます。
③当社が海源に依頼し、RCEP証明書の代行申請を進めさせていただきます。
まとめ
RCEP(地域的な包括的経済連携協定)は、日本を含むアジア太平洋地域の15か国が参加する自由貿易協定で、関税削減や撤廃によるコスト削減のメリットがあります。
これらの優遇措置を享受するためには、「特定原産地証明書」の取得が必要です。
証明書は自己申告、認定輸出者、第三者証明制度を通じて取得でき、手続きに必要な書類を準備し税関に提出することで、税制優遇措置や関税軽減を受けられます。
企業は正確な手続きを行うことで、貿易業務の効率化とコスト削減が実現できます。
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